この春高校生になった長男は現在、県内の工業科のある高校に進学しました。
もの作りが好きで、高校は工業系に進学したいという思いをずっと持っていたようです。
そんな長男、もともとは高専志望でした。

受験生時代、学校でも長男の周りには高専志望の子が複数いたことや、高専受験生向けのYouTubeを見たところ、都道府県によって差はありますが高専志願者ってたくさんいるようですね。
今回は長男と相談し、「高専ってどんな学校?」「高専を受験するにあたって知っておくほうがいいこと」をまとめることにしました。
高専ってどんな学校?
正式には「工業高等専門学校」「商船高等専門学校」など。
そういえば人気のアニメ「呪術廻戦」でも「呪術高等専門学校」って出てきますけど、たぶんそれとはイメージが違うと思います。
高校のような高等教育と、工業の研究機関が一緒になった感じ。
5年間通います。卒業したら短大卒と同等の資格になります。
ほぼ各都道府県に1校以上あります。多くは国立ですが、市立や私立もあります。
国立の高専と言えば仙台高専、奈良高専、佐世保高専など。
市立や県立、府立もあります。大阪は府大高専、兵庫県には神戸高専があります。東京には都立産業技術高専という高専があり航空宇宙工学が学べます(たぶんですが、高専では数少ない学科・・・のはず)
私立だと近大高専、サレジオ工業高専、国際高専などがあります。
全国にどんな高専があるのかを知るにはネットで探すのも方法ですが、秋ごろにNHKが高専ロボコンを開催し、TVで放映するのでそれを観るとどんな高専があってどんな学生さんがいてどんな雰囲気なのかが少しですがわかります。
学ぶことは工業に特化した学習。学科も機械工学や電気工学、情報工学、物質科学などがあり、もちろん高専によって設置されている学科も違います。
1~3年までは高校で学ぶ授業内容(国数英理社)に若干の専門科目が入る感じで、学年が上がるごとに専門科目が増えていくようです。3年次または4年次ぐらいからは個々の課題研究に関するカリキュラムが入ります。
たまに商船学科がある高専もあります。こちらは航海士の資格が取得できる学科で、カリキュラムも体を動かす演習的な内容があるようです。鳥羽商船や弓削商船、大島商船などがあります。
・・・という感じで超ざっくりと説明させていただきました。
詳しくは希望する高専のパンフレットをご覧いただくのが確実ですが、いきなりなじみのない単語が並んでいると読みづらいという方に参考になればありがたいです。
高専の学園祭は自由な雰囲気でした
長男が小学生の時に、地元の高専の学園祭に行きました。

これがまた、高校の文化祭とは雰囲気が全然違い、どちらかというと大学の学園祭のような自由な雰囲気でした。模擬店も多かったし←これポイント高い。
大学の学園祭とひとつ違うのは、大学の学園祭はサークル単位での出し物(模擬店や研究発表など)が中心ですが、高専は学科単位での研究発表もきっちりしっかりあります。これが理系の学科と言うこともあり、音に合わせて色が変わるネオンや、ちょっとしたゲームができたりと老若男女が楽しめる内容になっていて、親子で遊びに行くにもおススメのイベントになっています。
学園祭にはロボコン(全国の高専生が競うロボットコンテスト)に出場したロボットも展示されていました。
長男の高専受験体験記2021
小学生のころからあこがれだった高専。しかし、受験は難しかったようです。
ここからは長男の受験対策などでやったことなどを記しておきます。
高専と言えば国立または公立のところが多く、基本、偏差値の高い学校が多いです(※この記事では主に国公立の高専についての解説とします)。
推薦選抜の受験資格を得るのが難しい
そしてほとんどの高専が、2月におこなわれる学力選抜の約1か月ぐらい前に推薦による選抜試験を行います。
この推薦入試は、学校にもよりますが受験資格が結構厳しい。
内申書の各科目の評定値5段階評価の合計が〇点以上、という条件が付けられます。
例えばこんな感じ。
9科目の合計評定値が36以上(32以上などいろいろ)基本、全科目または半分以上の科目で4以上は必要ということになります。
上記の評定値の合計に加えて理科、数学、英語、技術家庭などの科目でさらに高い評定値を求められることもあります。高専によっては評定値を×2して計算する科目もあるところも。
また、合計評定値が条件以上を満たしていても、これらの科目の評定値が低いと足切りに遭うことも。
とすると、推薦で受験しようと思えば通知表の5段階が常に4~5はないと難しいということになります。ま、”推薦”なので高専側も優秀な学生が欲しいわけだから、こういう条件が付くのも無理はないのですけどね。
その他、”モノ作りが好き”とか理数関係のコンテストで表彰された経験があると上記の条件が緩和される学校もあるそうです。
推薦での受験の場合、受験資格を満たせば当日の試験がとてもラクです。
試験科目数が少ない(理科と数学、または数学と英語のみなど)、または作文と面接のみというところもあります。某高専では女子のエンジニア枠と言うのがあり、女子のみですが9科目評定が46以上(理数の評定は×2)あれば当日の試験なしで書類審査のみというところもあります。
推薦の受験資格が取れなかった場合は学力選抜試験で
このように推薦で合格できればラクですが、推薦受験の条件に合致しない場合は学力選抜による受験で残りの椅子を争うことになります。
しかしこれが・・・長男も私も実際に受験してみて分かったことですが、かなりの激戦でした。
まずは学力選抜の試験問題が・・・かなり難しい。
マークシート式なのでぶっちゃけなんか塗っておけば1/5の確率で正解はしますが、数学は回答を桁ごとにマークさせるので、確実に正解を導き出したうえでマークしないと正解できません。
また、理数系の学校ですが国語も難しく、大問が4つのうち3つは文章題。時間配分を誤ると全部の回答が難しくなってしまいます。
試験問題の傾向も独特なので、過去問を何度も解いて、できれば高専用の模擬試験を受験して対策をしないと難しいです。公立高校入試の対策と同じように考えていると失敗します。
高専対応の模擬試験はナレッジスターという高専対策に特化したオンライン学習塾で受験できます。我が家では模擬試験でお世話になりましたが・・・歯が立ちませんでした・・・

国立高専は全国規模で考えることが可能
地元の高専は高専の中でもトップレベルの偏差値だったため、中学3年の初めの時点で他府県の受験しやすそうな高専を探しました。
国立の高専は全国から学生が集まるので、学生寮があります。なので寮に入ることを前提で全国の高専を視野に入れて探すことが可能です。
また、地元の高専を受験、残念ながら不合格だった場合は全国の高専の二次募集の情報を収集、再度受験するという選択もアリです。長男の友人で同じく高専志望の子がいたのですが、その子は二次募集で県外の高専を受験し合格、現在は寮に入って高専生活を謳歌しているそうです。
この場合はどこの高専が二次募集をかけるかの情報を早く収集することが大事になるようで、上記のナレッジスターの情報が比較的早かったと感じました。
実際に受験した手ごたえは
長男も某高専を万全の準備を整えて受験しました。倍率が非公表だったため不明だったものの受験者や合格発表の受験番号を数えたりして分析してみたら3~4倍ぐらいはあったようで、結果・・・不合格でした。
長男が受験した会場だけでも4分の3は不合格だったようで、一般の高校入試に比べてかなり過酷な戦いだったようです。
二次募集を受けようかという話も出ましたが、いくら全国規模で受験を考えるとしても帰省のことを考えるとあまり遠いところを受験するのは現実的ではないし、長男自身「もし受からなかった場合は一般入試で公立の工業高校を受験しよう」と考えていたため、高専は断念しました。
ただし高専は5年制。高校卒業後編入試験を受けることも可能です。
ちなみに長男は冒頭の通り、この後に受験した工業科のある高校に無事合格し、現在は楽しく通っています。
高専目指して頑張って勉強した経験のおかげ&大好きな専門分野の勉強ということもあり、高校の勉強が楽しいとのこと。秋には危険物取扱者の資格を取るため勉強中です。
(追記2022/12/12)危険物取扱者試験乙四、2回目の受験で無事合格し、その後一と六も取得しました。
高専を志願する中学生へのアドバイス(長男より)
今は公立の工業高校生で、高専生ではないですが、受験経験者として伝えたいことはないか、長男に聞いてみました。

普段の定期テストで確実に点を取って、5段階評価の4以上をとることが大事。副教科も同様。できるだけ推薦入試で受験できるようにすること。
定期テストと5段階の評定でかなり苦労した長男らしいアドバイスだなと思いましたが、実際にそうで、学力試験を突破するコツを身に着けるよりも普段の定期テストを大切にきちんと勉強することが大切だとのことでした。
そして副教科をなめてはいけないとも話していました。高専によっては選考基準で副教科の配点が高いところがあります。特に技術・家庭。実際に進学してから勉強する内容を考えたら、技術家庭科の成績が悪いとそもそも進学後の勉強を続けるのがつらいでしょう、と言うこともあるからと思います。

地元の高専が「自分の成績で手が届かない」と思ったら全国に目を向けてみたらいい。等身大で受験できる高専が見つかることもある。
全国の高専を探してみると、たまに「出願したらよほどのことがない限り合格するかも?」なぐらいの低倍率な高専が見つかることがあります。
ちなみにある高専では、毎年二次募集で定員割れするので高専志願者の間で「最終手段はここを受験すればいいかも」と言われているところもあるとか。実は長男、その高専を受験しようかちょっと検討したそうな(あまりに遠すぎるのでそれはやめてくれと言いました)。
国立高専には寮があるので、そういう選択もアリです。

どうしてもモノ作りがしたいけど、成績が届かない人は、偏差値を気にして普通科に進路変更するよりは工業高校を選ぶほうが楽しく勉強できると思う。

逆に、「高専受験できる成績があるから」と安易に受験を決めないほうがいい。工業が好きな人でないと続かないと思う。自分も工業科で勉強していて「この勉強は機械が好きでないと苦痛だろう」と思うことがしばしばある。
ある意味、偏差値偏重時代に受験期を過ごした親世代への「それは違うよ」的な話でもありますが、「学校は偏差値で選ぶんじゃなくて、自分が本気で勉強したいことが学べる学校を選ぶべきでしょ」ということが言いたいとのことです。
さらにこんなことも言ってました。

工業高校と言えばヤンキーの職業訓練校的なイメージがありますが、それは昔の話で、今は若干いるヤンキーのほうが浮いています。本当にモノ作りがしたい子が多いです。高確率で車好きに出会えるのでおもしろい♬
うーーん。。。このへんは学校にもよるのかもしれませんが。。

仮面浪人(いったん別の高校に通いながら再度高専受験にチャレンジする)はやめておいたほうがいい。どうしても高専で勉強したいなら、工業高校で3年勉強してから高専4年次に編入するという道もある。うじうじと「自分は高専に行きたかったのに」と思い続けるより進学した学校での高校生活を思う存分に楽しんだほうがいい。
そしてそのためには

第2希望、第3希望であっても自分が好きになれる学校を選ぶことが大事。
とのことでした。
なかなかいいアドバイスをくれたので母は感謝です☆彡
それだけ、今の学校が気に入っているのだろうと思うと安心です。
また、親世代の頃と今とは受験や進路選びに関する価値観も違うので、親は頭の切り替えが必要ですね。
今回は
- 高校受験を控えている学生さん、保護者さんに地元の公立や私立以外の進路もあるということを伝えたいということ
- 高専ってこんな学校だよと言うことを知ってほしいという思い
- 実はけっこう受験大変でした
と言ったことを伝えたくて、長男の同意を得たうえでこの記事を書きました。
今後の進路選択の上で参考になれば幸いです。
では、年末に放送されるNHKの高専ロボコンを楽しみましょう♪(コロナで中止になってなければいいのですが・・・)
追記(2021/11/10)
私立の高専の学校名を変更しました。桐蔭学園高専は現在は大学の工学部になっているそうで、他の私立の国際高専に入れ替えています。
管理人プロフィール
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2005年9月生まれ高3男子・2009年1月生まれ中3男子・2011年1月生まれ中1女子の3児の母。まだまだ子育て真っ最中なので教育や子育てに関する話題に関心があります。特に発達障害児の育児への関心が高いです。
Webライター+スーパーのパートで生きています。
長男出産前は大学病院のMSW(産科・小児科担当)、その前は精神病院でPSWをしていました。
その他興味関心は世界史と幕末を中心に歴史、ドラマ、映画、J-POPなどエンタメ系、季節の行事、古民家カフェ。
◆さらに詳しいプロフィールと家族については「管理人プロフィール」「家族について」に。
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