2020年本屋大賞を受賞した「流浪の月」が映画化されると知り、嬉しくなりました。
#流浪の月 完成披露イベント🌙 でした✨
お越しいただいた皆様ありがとうございました。#流浪の月愛より切ない で感想の投稿お待ちしております🍨#広瀬すず #松坂桃李 #横浜流星 #多部未華子 #李相日 監督 pic.twitter.com/an4RNLmKtj
— 映画『流浪の月』5/13公開🌙 (@rurounotsuki) April 13, 2022
広瀬すずさんと松坂桃李さんのダブル主演。楽しみすぎる。
この作品読んだのずっと前なんですが思い出しつつレビューをします。
「流浪の月」概要
2019年8月に刊行されました。
- 2020年に第17回本屋大賞受賞。
- 2022年2月に文庫化。
- 2022年5月映画版が公開。
「流浪の月」ストーリーかんたんに
主人公、9歳の家入更紗は両親と別れて親類の家に引き取られていましたが、そこでは居心地の悪い思いをしていました。
家に帰りたくなくて公園でたたずんでいるときに出会った19歳の青年・佐伯文(ふみ)と約2カ月間マンションで奇妙な共同生活を送ります。「奇妙」…と表記しましたがこの時の2か月間は更紗にとって心地いい日々でした。とはいえ、これは端から見れば青年が小学生女児を誘拐し監禁したとみられてしまいます。
そしてそんな、2人にとって心地いい日々は終わりを告げます。更紗が警察官に保護され、文が逮捕されることに。そしてその逮捕劇はインターネットで拡散され続け、風化したかと思えば話題にされているのを目の当たりにすることも。
事件以後更紗は「かわいそうな女の子」と言うレッテルを貼られ日々を過ごすことに。
それから15年、24歳になった更紗は偶然、文と再会します。
さまざまなレッテルや決めつけ、価値観の押し付けに苦しみながら生きていく2人の関係…恋愛でもなく友情でもない、表現の難しい関係を描いている作品です。
「流浪の月」レビュー
途中から夢中で一気読みしてしまいました。
とりあえず、装丁のストロベリーアイスの可愛さにキュン死にしそうになるけど、本の中身はストロベリーアイスのように甘い話ではありません。
ただこのアイスクリームが主人公の価値観を表すキーワードになっています。
一般的に連れ去りや誘拐のような事件が起こると、子ども側が被害者、大人側は加害者と言う扱いをされます。「子どもは守られるべき存在」であるため、致し方ない面はありますが。
でも、この物語のようにもともと子どもがおかれている家庭環境が居心地が悪い、もしくはそれ以上に悪影響である場合、子どもは何から守られるべきなのか?ということはやはり考えてしまいます。(だからといって連れ去りや誘拐を肯定するわけではありません。これらは立派な犯罪ですからね)
「幸色のワンルーム」と言う漫画を、「流浪の月」を読んでしばらくしてから読みましたが、そこでも中学生の女の子が同様の…と言うよりも更紗よりは過酷な環境にいる子でしたが、ある日謎のお兄さんと同居することになります。この2人も当然、ハタから見れば誘拐事件の被害者と加害者のように見える上、女の子の親からは捜索願も出ているため、2人の生活を壊されたくない2人は逃亡生活を送ります。
「幸色のワンルーム」を読んだときにやはり、「流浪の月」を思い出しました。
このマンガ自体のテーマはもっと別のところにあるようなので、作品としてはさまざまな思いを抱えながら読みましたが、あまりこのようなシチュエーションの作品が出回るのは、勘違いさんが発生しそうで少し怖い気もします。
話を戻すと。
更紗と文の共同生活では、価値観の違いのすり合わせの楽しさが伝わってきましたが、事件以後からは二人ともいわゆる「世間の価値観」に苦しめられるようになるんですね。
そんな苦悩を抱えながらもいろいろあって、ラストはああよかったな、って感じにはなります。
ただ、気になる点が。
以下「」内ネタバレです。
「実は文はある病気なのですが、教育熱心で厳格な家庭で育てられたはずなのにこの病気をなぜ親が発見できなかったのか、子供の成長をちゃんと見ていたら発見できたはずなのにと思うと、これ親が悪いやん、と思ってしまいます。」
文庫版⇒流浪の月【文庫版】
凪良ゆうさんについて
滋賀県出身。もともとは漫画家を志望されていましたが、小説の方面に転向されました。
30代後半になり、2006年「小説花丸」に掲載された「恋するエゴイスト」で作家デビュー。
その後、ボーイズラブをテーマにした小説を中心に執筆されていました。
2020年に今回紹介した「流浪の月」が本屋大賞受賞。同年、「私の美しい庭」が第11回山田風太郎賞の候補に入りました。
2021年には、「滅びの前のシャングリラ」も本屋大賞の候補に入りました(受賞は町田そのこさんの「52ヘルツのクジラたち」でした)。
参考:Wikipedia
凪良ゆうさんの気になる作品
「縁切り神社」に訪れる人々の話、とのことですが、そういえば「縁切り神社」に行こうと思う人って何を思ってそうするのか、そして祈願後どうなるのかって気になります。先日、某縁切り神社が効果がありすぎて怖いという話がTwitterで話題になっていただけに。
「流浪の月」受賞の翌年にまたまた本屋大賞にノミネートされた作品。
それだけに気になっていましたが、なかなかすぐには手を出せませんでした。
世界滅亡前の4人の生きざまを描いた作品、とのことです。
本屋大賞について
本屋大賞とは
正式には「全国書店員が選んだ いちばん! 売りたい本 本屋大賞」という名称だそうです。
新刊を扱う書店の書店員さんたちがノミネート作品と大賞作品を選ぶという文学賞で、2004年から始まりました。
対象作品は過去1年間に刊行された日本の小説で、前年11月30日までに刊行された作品の中からノミネート作品が1月中旬から下旬ごろに選出されます。
大賞作品及びノミネート作品たちのベスト10の発表は例年4月上旬に行われています。
他には翻訳小説部門、ノンフィクション部門そして大賞発表の少し前には「刊行時期が古いけど、書店員さんがぜひ売りたい作品」である発掘部門も発表されます。
ノミネート作品が発表されてから大賞発表までの期間は多くの書籍系のYouTuberさんが全作品を読んだレビュー動画がアップされたりTwitterやInstagramでも話題になるので、今どきは本屋大賞のおかげで「読書の秋」よりも「読書の冬」な気もします。
大賞発表の様子はYouTubeでもライブ配信されます。

歴代本屋大賞受賞作品
- 2004年 『博士の愛した数式』小川 洋子(新潮社)
- 2005年 『夜のピクニック』恩田 陸(新潮社)
- 2006年 『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』リリー・フランキー(扶桑社)
- 2007年 『一瞬の風になれ』佐藤 多佳子(講談社)
- 2008年 『ゴールデンスランバー』伊坂幸太郎(新潮社)
- 2009年 『告白』湊かなえ(双葉社)
- 2010年 『天地明察』冲方丁 (角川書店)
- 2011年 『謎解きはディナーのあとで』東川篤哉(小学館)
- 2012年 『舟を編む』三浦しをん(光文社)
- 2013年 『海賊とよばれた男』百田尚樹(講談社)
- 2014年 『村上海賊の娘』和田竜(新潮社)
- 2015年 『鹿の王』上橋菜穂子(角川書店)
- 2016年 『羊と鋼の森』宮下奈都(文藝春秋)
- 2017年 『蜜蜂と遠雷』恩田陸(幻冬舎)
- 2018年 『かがみの孤城』辻村深月(ポプラ社)
- 2019年 『そして、バトンは渡された』瀬尾まいこ(文藝春秋)
- 2020年 『流浪の月』凪良ゆう(東京創元社)
- 2021年 『52ヘルツのクジラたち』町田 そのこ(中央公論新社)
- 2022年 『同志少女よ、敵を撃て』逢坂冬馬(早川書房)
ほとんどがメディア化作品ですね。
歴代の本屋大賞ノミネート作品をみても、ほとんど何らかの形でメディア化されています。

広瀬すずさん&松坂桃李さんで映画化
2022年5月13日より、「流浪の月」映画版が全国ロードショー開始です。
本屋大賞作品でもあるし、いつかはメディア化されるだろうと思っていましたが、どなたが演じるのだろうと思っていました。
更紗を広瀬すずさん、史を松坂桃李さんと聴き、思わず悲鳴を上げました。
なんて信頼できるキャスティングなんだろうと。安心して観に行ける♬
更紗の彼氏役が横浜流星くんってところはかなり思い切ったなぁと思いましたが…ファンの人ショックじゃないやろかと心配したりして。
監督は「悪人」や「怒り」の李相日監督。そういえば広瀬すずさんは「怒り」にも出演されてましたね。
予告編を少し見ましたが、表紙のアイスクリームとは全然違います(笑)
とりあえず楽しみです。もちろん観に行く予定。
